小児期の腰椎分離症の危険性
腰椎分離症に関して本サイトでは色々と解説をしてきました。
まず腰椎分離症に関してなんだろうと思う人は下記の記事をご参照ください。
腰椎分離症の危険性
これまで腰椎分離症の治療方針などに関して解説をしてきました。
その中で腰椎分離症では骨癒合を目指さずにリハビリで復帰を目指すプランもあることを説明しました。
しかし、それは中学生、高校生の話であり、実は小児期では必ず骨癒合を目指しにいかなければいけません。
その理由を今回解説していきます。
目指さなければならない
腰椎分離症とは??
腰椎分離症は腰の骨の疲労骨折であり、スポーツをしている子でよく発生する障害です。
特に小学生中学生では2週間以上続く腰痛の45%が腰椎分離症であったと報告されております。
この腰椎分離症は治すためには長い期間の休養期間が必要はあります。
なので、骨癒合しない可能性も説明して、その後の症状の残存の可能性も説明して骨癒合を目指さずにリハビリで復帰を試みることもあります。
しかし小児期では
これはしてはいけません。
なぜなら小児期で骨癒合をしなければ大幅な「すべり症」に進行してしまう可能性があるからです。
小児の腰椎分離症からのすべり症
もし、小児期の腰椎分離症を見逃して、そのまま骨癒合せずに経過を見ると
症状が進行しすべり症になってしまいます。
なので最終的に腰椎後方固定という大きな手術になってしまう可能性があります。
なぜすべり症に小児だとなりやすいのでしょうか?
それを解説します。
なぜ小児だと分離症からすべり症になるのか?
それは小児の場合はまだ成長が未熟な骨だからと言われています。
具体的な図を示します。
このように小児の骨ではレントゲンに写っていない部分には骨端核や成長軟骨が存在します。
それらが徐々に成長につれて見えるようになり最終的には癒合して大きな背骨ちょして正方形に近くなっていきます。
では実際にどれくらい負担がかかるのか実験した図があるので解説します。
これは徳島大学現在教授の西良先生の2001年に報告された論文です。
小児の骨端輪が存在すると大人の椎体と比べて特に伸展時(背中を反る)に椎体にかなりの負担がかかってしまうことがわかっております。
なので、成長していない骨では腰椎分離症になるとさらに負担がかかってしまいます。
また同文献では滑り症になる確率も示されており、Cartilaginous stageだと80%もの患者がほっておくてすべり症になるリスクがあると報告されております。
小児では骨が未熟なため腰椎分離症が治らなければすべり症になってしまう可能性が高い。
なので、患者様がC-stageなのかA-stageなのかE-stageなのかそれをしっかりと把握した上で治療に当たらなければなりません。