大腿四頭筋肉離れ
今回は大腿四頭筋の肉離れに関して解説します。
少し専門的な用語も入っておりますので、
こちらの記事「肉離れ 総論」で
概略を掴んでから読むのがおすすめです!
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大腿四頭筋とは?
大腿四頭筋(だいたいしとうきん、Quadriceps)は、太ももの前面に位置する筋肉で、主に膝を伸ばす動作に関与する重要な筋群です。この筋群は4つの筋肉で構成されており、それぞれが異なる役割を持ちながら連携して動作をサポートします。以下が大腿四頭筋を構成する筋肉です:
- 大腿直筋(だいたいちょくきん、Rectus Femoris)
- 大腿四頭筋の中で唯一、膝関節だけでなく股関節にも関与する筋肉です。骨盤から膝蓋骨(膝のお皿)まで伸びており、股関節の屈曲(脚を前に振り出す動作)と膝の伸展に寄与します。
- 外側広筋(がいそくこうきん、Vastus Lateralis)
- 太ももの外側に位置し、膝を伸ばす主力筋の一つです。大腿四頭筋の中で最も大きく、脚の安定性をサポートします。
- 内側広筋(ないそくこうきん、Vastus Medialis)
- 太ももの内側に位置し、膝関節の安定性に重要な役割を果たします。特に「VMO」とも呼ばれる下部の部分は、膝蓋骨を正しい位置に保持する役割があり、膝の内側の痛みや不安定性を防ぐ重要な筋肉です。
- 中間広筋(ちゅうかんこうきん、Vastus Intermedius)
- 大腿直筋の下に隠れている筋肉で、他の広筋と同様に膝を伸ばす役割を持ちます。
大腿四頭筋の機能
大腿四頭筋は、主に膝を伸ばす(膝関節の伸展)動作を担っています。スポーツや日常の活動では、歩行、走行、ジャンプ、階段の上り下りなど、多くの動作でこの筋群が活躍します。また、膝をしっかりと支え、安定させることで、怪我を防止する役割も果たします。
この中でよく肉離れを起こすのは大腿直筋になりますので今回はこの大腿直筋の肉離れに関して解説していきます
一般的な肉離れ JISS分類とは?
まず肉離れには大まかにJISS分類といったものが存在しそれに関しては肉離れ総論で解説しております。
筋損傷の画像診断 MRIによる分類と実践 より引用
筋肉の構造は骨から生じて腱、腱膜、筋繊維、腱膜、腱と繋がっているのですが
この中で肉離れで一番大切な場所は腱膜になります。
筋損傷の画像診断 MRIによる分類と実践 より引用
1型 筋繊維のみの損傷
2型 腱膜の損傷
3型 腱付着部の損傷
このJISS分類は損傷部位の分類でありこの部位によって復帰時期が大きく変わってきます。
さらにこの中で重症度分類が分かれています。
1度 ごくわずかな損傷
2度 部分断裂が疑われる
3度 完全断裂
よってこのJISS分類のなかで”型が部位” ”度が重症度”
西田雄亮 関節外科2023 vol42より引用
JISS分類における各分類の平均復帰時期です。
これを見るとⅡ型1度までわりと早めに復帰ができる印象です。
大腿直筋肉離れの特徴
しかし大腿直筋の肉離れは特徴としてこのJISS分類の型通り治療がいかないことがあります。
特に1型でも治療が難渋する症例が存在します。
それが大腿直筋肉離れ外側型です。
この外側型は大腿直筋の筋内腱より外側の繊維部分の損傷のことを示し、
内側型と比べると明らかに復帰時期が遅れることが報告されております。
https://www.rinspo.jp/journal/2010/files/24-3/430-437.pdf 和田誠 臨床スポーツ医学より引用
大腿四頭筋肉離れは1型の中でも外側型と内側型に分類できる
外側型:完全復帰まで8.3週
内側型:完全復帰まで2.0週
筋内腱:完全復帰まで5.8週
大腿四頭筋肉離れの治療
①可動域訓練
②HBD左右差なし
③徒手抵抗を加えても痛みなし
これら3つの項目をクリアしてはじめてランニングを開始できます。
その後徐々に負荷を上げていき復帰に向けて見ていきます。
早期に痛みを取りたい場合はエコーガイドに損傷部分に生理食塩水を用いてハイドロリリースなどが考慮されます。