Doctor's Column ドクターコラム

野球選手の腰椎分離症リハビリプロトコル

野球選手の腰椎分離症リハビリプロトコル

椎分離症とは?

腰椎分離症とは腰の骨の疲労骨折で若年者のスポーツをしている子に多いと言われています。

特に小中学生で2週間以上続く腰痛の45%が腰椎分離症であったとの報告がされるくらい、多い疾患になります。

腰椎分離症と診断された人は、いつどんな風にスポーツ競技に復帰したらいいかかなり悩んでいる人も多いのではないでしょうか?

まずは自分の腰椎分離症と診断されたGradeがどの程度なのかそこはわかっていますか??

わからない場合は一度この記事を読んで自分がどこのGradeに当てはまるか確認してみてください。

病期分類での差

癒合の率が腰椎分離症の進行の具合によって変わることは理解してもらえたでしょうか?

今回の記事では腰椎分離症になったが骨癒合を目指す野球選手の場合のリハビリを解説します。

骨癒合を目指すためのリハビリとは

まず骨癒合を目指すためには無理をしないということが大前提になります。

せっかく骨癒合を目指すために練習強度を落としたのに結局骨癒合しなければ、最初から骨癒合を目指さずに運動強度を落とさずにリハビリをすればよかったのにとなるからです。

なので運動強度を上げていくに連れて自分の体と向き合って痛みがあるかなどを確認しながら進めなければなりません。

今回の記事は加藤欽志先生の治療内容を参考に

私自身が行なっている治療プランになります。

皆様もぜひ加藤先生の記事も参考にしてください。

野球選手の腰椎分離症 リハビリプラン

基本的には硬性コルセットを作成してリハビリを行います。
8週程度までは硬性コルセット着用下でのリハビリです。
その時点で硬性コルセット除去基準を満たしたら次にいきます。

0週〜2週

ドローインと腰椎の屈曲を伴うジャックナイフストレッチなどの腰椎伸展が伴わないハムストリングのストレッチのみを行う。

特にドローインは今後の腰、骨盤の安定感を作っていくのにとても大事な練習になってくるので習得できるようにしましょう!

2週〜4週

最初の2週間で安静時痛が消失するかどうか見ていきましょう。

また下肢のストレッチとドローインが正しく行えているかどうか確認します。

もしうまくできるようになっているならストレッチの動作は全て行っても大丈夫です。

そしてプランクなどの深部体幹筋トレーニングも疼痛がないようなら始める。

プランクドローイン→サイドプランクドローインなどがきちんとできるか確認します。

投手の場合はテニスボールを用いたスナップスローでのネット投げ

野手ではコルセット着用下でのプラスチックバットと卓球ボールや穴あきボールでのティーバッティングは可能となる。

ストレッチは全てOK
プランクなどの体幹トレーニングは徹底させる
スナップスローのネット投げ
プラスチックバットでのティーバッティング

4週~6週

この時期には画像評価も大切になってきます。

余裕があるのならMRIに関しては毎月とるのがオススメです。

痛みが少なくなってくると脂肪抑制の真っ黒なMRIの条件撮影の時に映ってくる腰椎分離症の部分である白く光る骨髄浮腫の部分が少なくなってくるのがわかるからです。

この白く光っている部分が骨髄浮腫という部分です。
これが痛みが少なくなってくると徐々に白さが消えてきます。

CTも頻繁に本当だったら取りたいのですが、MRIと違い被曝といい放射線を浴びてしまうため頻回に撮ることはお勧めできません。(MRIは身体に害はありません。)

ここからはMRIにて白さが消えたのを確認してから活動レベルを上げていきます。

MRIにて高信号(白さ)が消えたら自重スクワットやコルセット装着の状態で腰椎や骨盤帯の動きをエクササイズを開始する。

8週〜12週

2ヶ月の時点でCTをとって骨癒合傾向を確認する。

そして硬性コルセット除去基準を満たしていればスポーツコルセットに変更し活動レベルを上げる。

硬性コルセット除去基準

腰椎前屈、後屈やKemp手技での疼痛の消失

局所圧痛の消失

Sharman core stability test レベル3以上

sharman core stability

これは体幹力の指標として使われます。

血圧計を用いてそれを背中で潰しながらドローインをさせながら足を上げおろしするというテストになります。

このテストでレベル3以上をクリアがコルセットを外す1つの要素となります。

一覧へ