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野球肘:投手を悩ませる離断性骨軟骨炎(OCD)とは?

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離断性骨軟骨炎(OCD)とは?

離断性骨軟骨炎(OCD)は、投球スポーツに関わる人にとって重要な疾患です。1938年に名倉らによって初めて定義され、骨と軟骨が分離することで痛みや可動域の制限を引き起こします。現在のMRIなどの高度な画像診断技術が進化したにもかかわらず、基本的な病態論は変わっていません。

OCDの病期分類

OCDは以下の3つの段階に分類されます(木田圭重2013):

  1. 透亮期 – 初期段階
  2. 分離期 – 分離が進む段階
  3. 遊離体期 – 完全に分離した段階

高原の小頭OCD病態分類では、以下のように分類されます:

  1. 安定
  2. 部分離断
  3. 完全離断

OCDの発症年齢と進行

2008年から2015年までの調査では、OCDの初期は平均11.0歳(±1.8歳)、進行期は13.5歳(±1.2歳)、終末期は15.7歳(±1.0歳)で発症しています。また、骨端線の開存の有無や2次骨化中心の状態も重要な要素です。

症状と診断方法

  • 症状:投球時の肘痛や内側部の痛み、外反ストレスなどが典型的です。可動域制限が20度以上ある場合、初期段階である可能性は低いです。
  • 画像所見:単純X線のtangental view、CTでの骨表面の不正、MRIでの軟骨下骨の病変評価が必要です。

保存療法の適応

肘関節を固定するか、使用を控えるかが議論されます。ギプス固定の期間と治癒率が重要です。

保存療法の中止

3ヶ月経っても修復傾向が認められない場合、以下の条件が予後不良因子となります:

  • 病変が不安定(MRIで軟骨下骨にH I G Hな部分が認められる)
  • 橈骨頭の肥大
  • 骨端線閉鎖
  • 可動域が20度以上出ている

手術適応

  • 10mm以下の病変では郭清術+骨髄刺激術
  • 10mm以上の病変では骨軟骨柱移植術

野球肘検診の重要性

検診群では初期で発見される率が高く、保存療法の結果も良好です。一方、外来に来る場合は進行期が多く、完全修復の率が低いです。


このように、離断性骨軟骨炎(OCD)は早期発見と適切な治療が重要です。投球スポーツに関わる皆さん、肘の違和感を感じたら早めに専門医に相談しましょう!

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Drシロー(岡崎史朗)
Drシロー(岡崎史朗)
日本整形外科学会専門医/三栄会広畑病院整形外科医長 プロスポーツチームDr
姫路で整形外科医/スポーツDrとして日々苦しむ患者様のために奮闘中 わかりやすい説明と適切な処置でたくさんの悩む患者様やアスリートを救う    
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