肉離れ 総論
肉離れはさまざまタイプが存在します。
ここでは総論から各論につなげていこうと思います。
肉離れの疫学
肉離れのスポーツ別頻度
肉離れはスポーツによって起こりやすいものがあります。
1位 陸上
2位 サッカー
3位 フェンシング
4位 レスリング
5位 ラグビー
”国立スポーツ科学センターの調査”
損傷部位別の頻度
1位 ハムストリング
2位 下腿三頭筋
3位 大腿四頭筋
4位 内転筋
5位 骨盤筋群
”国立スポーツ科学センターの調査”
ハムストリングにもさまざまな部位がありその中でも大腿二頭筋が損傷しやすいと報告されています。
肉離れが起こる頻度
欧州サッカークラブの調査
25名のチームで年間あたり平均18件の肉離れが
発生していると報告される
その中でさらにチームを離脱するような肉離れは37%と報告されています。
特にレベルの高いトップチームの報告ですので、レベルが高くなればなるほど肉離れが発生する確率が高いということがわかります。
また肉離れは再発率がとても高いと報告されておりそこも併せて知っておく必要があります。
肉離れの再発率
再発率はアマチュア選手の方がかなり高いと報告されています。
この理由はきちんとしたメディカルの対応が施されない状態で復帰すると再発する確率が高くなると考察されております。
実際にアマチュア選手は痛みがなくなった瞬間にすぐに試合に復帰することが多くそうなるとやはり再発率が高くなってしまう。
アマチュア選手は再発率が高い
きちんとしたリハビリやメディカル対応がされないと再発率が上がる
肉離れ JISS分類
筋損傷の画像診断 MRIによる分類と実践 より引用
筋肉の構造は骨から生じて腱、腱膜、筋繊維、腱膜、腱と繋がっているのですが
この中で肉離れで一番大切な場所は腱膜になります。
筋損傷の画像診断 MRIによる分類と実践 より引用
1型 筋繊維のみの損傷
2型 腱膜の損傷
3型 腱付着部の損傷
このJISS分類は損傷部位の分類でありこの部位によって復帰時期が大きく変わってきます。
さらにこの中で重症度分類が分かれています。
1度 ごくわずかな損傷
2度 部分断裂が疑われる
3度 完全断裂
よってこのJISS分類のなかで”型が部位” ”度が重症度”
肉離れの治癒期間
1型、2型、3型によって大まかな復帰時期が変わってきます。
Ⅰ型 2週間以内
Ⅱ型 6〜8週間
Ⅲ型 手術が必要(4〜6ヶ月)
なぜ、1型と2型で差が出てくるのでしょうか?
筋繊維だけの損傷だとかなり早い段階で再生が行われます。
筋繊維の再生過程に関しては
12時間後 再生開始
72時間後 再生繊維形成
1週間後 筋繊維の直径の1/2まで増大
1ヶ月 再生完了
となりますので最低でも1ヶ月経てば筋繊維は完璧に再生されることが報告されてます。
肉離れ Ⅰ型Ⅱ型Ⅲ型の見分け方
引用:奥脇透 MB Orthop Vol23 No.12 2010p51-58
奥脇らの報告によると受傷した時にストレッチ痛があるかどうかがまず大事となります。
ストレッチ痛がなければ1型と診断できます。
なのでストレッチ痛がある場合はⅡ型もしくはⅢ型の可能性があるため
即座にMRIを取る必要があります。
肉離れの治療方法
初期治療から筋肉トレーニング
初期の治療に関してはまずエコーを用いて血腫が内部に溜まっている状態では
血腫を注射で抜いた方が治癒が早く進むと言われております。
その後まずは安静時痛がなくなるまでは安静が必要となります。
その後筋等尺性収縮で痛みが出るかどうかを確認します。
筋収縮で筋肉の距離が変わらない等尺性収縮が一番安全に行えます。
そこから求心性収縮、遠心性収縮と進めていきます。
等尺性収縮
↓
求心性収縮
↓
遠心性収縮
かつそれと同時に
筋肉の緊張
筋出力
筋持久力
計測をするべきです
FIFAの肉離れ復帰基準
実際にFIFAが肉離れの復帰基準をきちんと出しております。
これらの項目が全て受傷前と比べて問題なくできるようになって初めて復帰が可能となってきます。
GPS評価
評価項目でGPSの評価がありますがこれはかなり高価な機械でチームに導入するためには
500万円ものお金がかかると言われています。
なので普通のチームはオフシーズンに選手の身体テストをしっかりととりそれらを
基準にどれくらい改善しているかを評価して試合に復帰させなければいけません