足関節捻挫 (前距腓靭帯損傷)
前距腓靭帯損傷とは?
前距腓靭帯損傷とは内反捻挫で受傷します。
この捻挫は一番良くある形の捻挫でスポーツをしているときに頻発します。
この形で捻挫をすると前距腓靭帯という足関節の外側にある靭帯が損傷します。
この前距腓靭帯は足関節の安定性にかなり重要な靭帯で切れた状態になってしまうと足関節が緩くなってしまいます。
特に前後方向の動きにかなり弱くなってしまいます。
前距腓靭帯が痛んだ状態でいると再度捻挫する確率がかなり高くなります。
さらにその状態で何回も捻挫してしまって足関節が不安定になってしまうことを
《足関節不安定症》と病名になってしまい最終的には《変形性足関節症》 となってずっと足が痛い状態になってしまうので注意が必要です。
前距腓靭帯損傷 重症度
1度損傷:靭帯の軽微な損傷(伸びているだけ)
2度損傷:部分断裂
3度損傷:完全断裂
前距腓靭帯 身体所見
足の外くるぶしの周辺が痛いのが特徴です。
重症度が2度損傷以上になるとかなり腫れてきます。
捻挫してから1週間は足をついた時に痛みがあります。
前距腓靭帯 検査
まず絶対にレントゲンは取る必要があります。
激しい捻挫の場合は骨折している場合はあるのでレントゲンを撮ります。
特にまだ成長線が残っている子供の場合は前距腓靭帯ではなく骨が剥離することがあるので要注意です。
その後診察室でエコー検査を行います。
エコー検査
このピンと張っている部分が前距腓靭帯になります。これが損傷して切れてしまいます。
MRI検査
https://radiologyassistant.nl/musculoskeletal/ankle/mri-examination
その後MRI検査を行なってより詳しく見ます。
これもそのほかの部位の靭帯損傷を見るためにとても大事な検査になります。
上の図の黒い部分が切れていることがよくわかります。
前距腓靭帯損傷の治療方法
Gradeごとに大きく治療方針が異なります。
大まかな損傷Grade毎の治療期間になります。
1度損傷:1週間〜2週間
2度損傷:4週間
3度損傷:2〜3ヶ月
基本的な治療の流れ
受傷時に足をついて歩くときに痛みがあるかないかで大きく治療方針が分かれます。
足をついても痛くない場合はサポーターをしてもらって生活をしてもらいます。
足をつくと痛みがある場合は1週間のU字シーネという固定具で固定します。
基本的にはPOLICE処置という処置を急性期にはしていただくのがおすすめです。
POLICE処置
P:Protection 保護、固定を行う
OL:Optimal Load 適切な負荷をかける
I:ICE 患部を冷やす
C:Compression 包帯などで圧迫を行う
E:Elevation 挙上して心臓より高いところに足を置いておく
固定しながらも家では取り外して足関節の痛くない範囲で足首を回したり、足趾のグーパーなどは積極的に行なってもらいます。(Functional treatment)
その後1週間経っても足をついた際に痛い場合は内側の靭帯損傷か距踵関節に血腫が溜まっている可能性を考えます。
そしてまずは疼痛が改善してくるのを待ちながら徐々にバランス運動などを開始していきます。
これらのバランス運動を行うことで固有知覚受容器を鍛えることができ、足関節捻挫の再発を防ぐことが可能になります。
靭帯が断裂している状態ではエコーにて靭帯が治っていく状態を確認しながら負荷を上げていきます。
これに関してはエコーで靭帯成分が十分に再生しているかを確認して体重やジャンプなどの負荷を上げていきます。
靭帯の修復過程は上記の流れで進んでいきます。
この中でリモデリング前期に差し掛かると徐々に靭帯の再生組織が見えてきます。
これらの状態をよく見ながら負荷を上げていくリハビリをやらなければ
慢性的に不安定な足関節になってしまいます。