前距腓靭帯損傷解説
前距腓靭帯損傷とは
前距腓靭帯損傷はもっとも多い足関節捻挫の受傷部位です。
腓骨という外くるぶしの骨と距骨の間を繋ぐ靭帯で足が前に飛び出すのを抑制しています。
この靭帯はとても大事な靭帯でこの靭帯が切れたままだと足首が不安定になってしまいます。
前距腓靭帯損傷のGradeと復帰目安
1度損傷 靭帯に炎症が起きていて断裂はしていない状態
2度損傷 靭帯が部分的に断裂してい軽度不安定性を認める
3度損傷 靭帯が完全に断裂していて強い不安定性を認める
基本的には
1度損傷では約1週間で復帰
2度損傷では1ヶ月程度で完全復帰
3度損傷では2,3ヶ月程度で完全復帰
と考えてください。
前距腓靭帯損傷の病期と再生過程
まず大前提として切れた前距腓靭帯は再生します。
なので、切れてしまった前距腓靭帯は安静にしておかなければいけません。
しかし、安静にしているだけではだめでスポーツ復帰を目指すには適切な時期に適切なリハビリ
をしていかなければなりません。
① 急性期(受傷後 1~3 日)
② 亜急性期(腫れは残っているものの、熱感や発赤は消失している)
③ 回復期(腫脹が完全に消失)
④ 復帰準備期(ジョギング開始)
これに沿って復帰の準備をしていきます。
これは腫脹を基準にした病期の分け方になります。
次に靭帯修復に沿った病期を確認していきましょう。
靭帯の修復過程はこのような形式で進んでいきます。
それぞれの修復過程の内容を見ていきましょう。
増殖期とはⅢ型コラーゲンが増殖し、新生血管豊富な瘢痕組織が増えます
瘢痕組織内の組織新生は低下。解剖学的靭帯走行に沿った
Ⅰ型コラーゲンが出現し増生する
正常様靭帯成分が増加、配列がランダムな瘢痕組織靭帯成分が低下
つまりリモデリング期前期に入らなければ靭帯成分はあまりできてないということなので
完全断裂の場合はここまではかなり靭帯的には不安定なので、
あまり負荷をかけたトレーニングは避けた方が無難かと思われます。
初期対応:急性期の対応
急性期は安静にすることが大事ではあるのですがしなければならないこともあります。
最も大事なのは腫れを防いで、
足の循環を良くすること
そのためには現在はRICE処置でなくPOLICE処置はてはPEACE & LOVEが現在は処置として新たに提唱されています。
R:Rest 休息
I :Icing 冷却
C:Compression 圧迫
E:Elevated 挙上
↓
P:Protect 保護
O L:Optimal Loading 適切な荷重
I :Icing 冷却
C:Compression 圧迫
E:Elevated 挙上
この変更で大事なのは
安静にするのではなく
適切な荷重をかけていく
ところが重要な変更点になるよ!
じゃあ次のPEACE & LOVE
って何なんだ??
上記図
The Running Clinic.com より引用
これは近年新たに提唱されている軟部組織損傷に対する対応方法す!
Running Clinicというところが提唱している方法ですが!数が多いので覚えにくいですね・・
https://therunningclinic.jp/ リンク 元サイトです。
PEACE & LOVEで最も大きな変更点は
アイシングがなくなった点です
アイシングは軟部組織の修復を妨げる可能性があるとのことでしない方が早く軟部組織修復が起こるとのことです。
しかしアイシングは除痛効果もありますし、筋収縮が入りやすくなるといった報告があるので一概にまだ100%否定はできないんではないかと個人的には思っています。。。
そのほかにもNSAIDSなどの抗炎症作用のある薬は使わない方が
いいなど少し攻めた内容になっています。。
できればPEACE & LOVEという概念があることは知っておきながら今のところは緊急時は
POLICEで対応するのが無難かなと思います!
またこれらに加えて腫れている軟部組織で触ってもそこまで痛くない場所は積極的に触るように意識しましょう。
特にふくらはぎや足の甲や裏などは積極的に痛みが出ないのであれば触ってマッサージすること
で腫れを軽減する効果があります
原則痛くない場所は触っても大丈夫です。
なのでPOLICE処置に加えて
痛くない場所をしっかりと
マッサージしてください!
特にふくらはぎのあたりは!
かつこの時期は動かすことのできる足趾や内在筋はどんどん使った方がいいです。
下記に示すリハビリを頑張って行おう!
- 足のグーチョキパー
- 足関節底背屈
亜急性期:腫れが引いてきてある程度荷重がかけられる
痛くない範囲で荷重はかけていこう!
そこから徐々徐々に足関節の固有知覚トレーニングなどを入れていく